この記事はくだらないものでつまらないものかもしれません。ただ、私にとってはとてもだいじで、とてもふかい発見となりました(本記事には「うんこ」と「おなら」というワードが、かつてないほど連呼されています。不快な方は読むのをお控え下さい)。


2種類の漢字ドリル。

ご存知でしょうか?「うんこ漢字ドリル」と「おなら漢字ドリル」の存在を。うんこの方は2017年の3月に発売されて大ヒットとなりましたのでご存知の方も多いでしょう。なにせ発行部数260万部を突破したとの記事も目にするほどのヒット作です。私はこのうんこ漢字ドリルを見た瞬間に「うんこ演算」に近いワクワク感を得ました。

そしてこの夏、さらに気になる漢字ドリルが発売されていました。「おなら漢字ドリル」なるものです。うんこの勢いに触発されて出たおならでしょう。こちらもすぐに10万部を突破したとのこと。私は息子からその存在を聞いていましたが、実物をお目にかかれたのはつい先日のこと。一度は立ち読みでざっとうんことの比較をしましたが、それでは失礼にあたると思い、正式に2冊とも購入し(うんこは同じものを2冊目)心して両者の比較に当たりました。本記事では、うんことおならとも2年生用(次男が2年生なんです)の漢字ドリルを徹底比較した分析結果をまとめました。見つかったのですよ、決定的な違いが!


ご容赦ください。うんこ寄りです。

比較結果をお読みになる前に一つご容赦ください。「うんこ漢字ドリル」と「おなら漢字ドリル」はどちらも、子どもの学習が進むようにとプロが作ったきちんとした製品です。そうではありますが、比較をした人間にも主観がありますので多少偏った見方をしている部分もあります。ぶっちゃけ、私は「うんこ」の方が好きです!多少うんこ寄りの意見も増えてしまいますが、それは製品の良し悪しとは別のものです。個人の好みの問題として捉えて頂ければ幸いです。どちらも子どもの将来を願った素晴らしい製品に違いはありませんから。


4つの分野で徹底比較

うんことおならの比較は4つの分野で行いました。「書籍の概要」「学習ページ内容」「モチーフ」「企画の作り込み」の4つです。興味深いのは後半の2分野です。個人的にはとても興味ふかい発見がありました。では、4分野の比較を見ていきましょう。


「書籍の概要」比較。うんこの勢いで出たおなら。

まずはスペック的な比較から。うんこの発売が2017年の3月で、おならは8月。おならの価格は少し抑えめでページ数は少し多めですね。おならはうんこのヒットを見て制作されたものと考えて間違いないでしょう。


「学習ページ内容」比較。遜色なし、むしろおなら優勢か!?

双方とも子どもの学習用の漢字ドリルですから、きちんとされています。遜色はないでしょう。強いて言えばおならの方が学習ドリルとしての専門性が高いように感じます。学習日の記入欄があったり、各ページの答えがめくった次のページの下部に掲載されていたり(うんこは最終ページにまとめて)、普段から学習ドリルを制作してなれているからこその制作ではないかと思えます。


「モチーフ」比較。人気者のうんこに分があるか!?

さて、いよいよ本題です。ここからがだいじ。

それぞれ「うんこ」と「おなら」をモチーフにして漢字ドリルを制作されていますが、このモチーフ自体大きな差があります。当初からうんこは人気者であり、おならは脇役なのです(私の主観ですか?)。ある筋に人によると「うんこは、人が生まれて初めに感じるエクスタシー」だと言います。基本的にうんこは気持ちのいい存在であり人間は好きなのです。とくに子どものころは「うんこ」と「ちんちん」は鉄板です。

その存在感と比べると、どうしても「おなら」の存在感は小さいを言わざるを得ません。しかもおならをポジティブに捉えることは人生で多くはないでしょう(お好きな方がいることは否定しません)。この差は大きい。

また、うんことおならは存在感にも差があります。そもそもうんこは物体であり、おならは気体です。うんこは目に見えるものであり「視覚」に訴えることができます。嗅覚や聴覚、触覚に訴えることもできますが、視覚が一番強いでしょう。味覚に訴えるのは一般的には控えた方がいいでしょう(実際、このドリルでもそちら方面には展開されていません)。

おならは気体です。視覚に訴えることが難しい。おならの特徴は「香り」ですから、どうしても嗅覚に訴えることになります。そして嗅覚に訴えられたものは、一般的には「くさい」と形容されます。ポジティブではないのです。

そもそも人間には視覚感覚が強い人と、聴覚感覚が強い人と、触覚感覚が強い人がいるそうで、なかでも視覚感覚が強い人が多いそうです(NLP関連の本を読むと出てきます)。これはうんこの強みであり、ここに嗅覚が出てこないことはおならの弱みにもなるでしょう。

また、漢字ドリル内での扱い方にも注目しましょう。うんこは、リアルなうんこを使っていません。一般的に「まきぐそ」と呼ばれるタイプのうんこを全編にわたって使用しています。このタイプのうんこは現実には存在しないものです。多くの人が一度はトイレでチャレンジしたことがあると思いますが、あの「まきぐそ」を完成させた人はいないのではないでしょうか?少なくとも私は「私の特技は、まきぐそを作れることです」という人に未だあったことがありません。あのタイプのうんこは基本的には虚像でありファンタジーなのです。ここは大事なポイントです。リアルなうんこではなく「ファンタジーうんこ」なのです。

対しておならはどうでしょう?おならの虚像に一般的なイメージがありません。マンガで「ぷー!」と空気が出ている表現はありますが、あれくらいです。実際にこのおなら漢字ドリルでもその表現が採用されています。これは嗅覚を刺激するリアルなおならを2次元で表現したものです。ファンタジーではないのです。だからおならドリルは、おならをリアルに感じるものになっています。

少し戻りますが、うんこは元々人気者であり、おならは脇役です。このモチーフを選んだ時点でうんこに分があると言わざるを得ないでしょう。


「企画の作り込み」比較。決定打は文例の作り方か!?

いよいよ徹底比較の本質に迫ります。うんことおならの違いはどこにあるのか!?ドリルの中身を徹底的に比較分析すると判ってきました。両者の決定的な違いが!

そもそも、うんこ漢字ドリルとおなら漢字ドリルは企画制作者の立ち位置が違うようです。その結果、完成物にも大きな差が出ているのでしょう。そう、形は良く似ていても中身は全く別ものなのです。

うんこ漢字ドリルは、エンターテイナー(天才クリエイター)が企画して制作したものです。作者は古屋雄作さんと記載されています。彼はとてつもないクリエイターです。名作「スカイフィッシュの捕まえ方」や「温厚な上司の怒らせ方」などを企画制作した人物です。天才でありとてつもないクリエイターです。その古屋氏が子どもの勉強に寄ってつくったものがうんこ漢字ドリルです。面白いに決まってる!!

対しておなら漢字ドリルはどうでしょう?水王舎さんという出版社さんの制作物です。こちらは単行本も出されていますが学習参考書も多数発行されているようです。学習参考書づくりのプロと言っていいでしょう。その学習参考書のプロがエンタメに寄っていって作られたのがおなら漢字ドリルです。ためになるに決まってる!

もともと企画者が違うのだから完成物が違うのは当たり前。差が出てあたり前なのです。では具体的にはどんな違いがあるのか、細かい文例の分析になりますが見ていきましょう。下記の5項目で分析をします。

1)ファンタジーに感じさせるうんこ。リアルに感じさせるおなら。

2)うんこ以外にズラすうんこ。おならが中心のおなら。

3)行動やビジュアルに焦点があたるうんこ。感情や心情に焦点が当たるおなら。

4)想像可能なうんこ。想像不可が散見されるおなら。

5)ツッコみたくなるうんこ。受け入れるしかないおなら。


1)ファンタジーに感じさせるうんこ。リアルに感じさせるおなら。

「弟」という漢字の文例を見ていきましょう。うんこの文例で際立つのは一番左のものです。

「おとうとが うんこを 水そう 入れて えさを あげて いる」

これはうんこをうんことして扱っていない文例で際立っているものです。水槽に入れてエサをあげているのですから、ザリガニか何かに見立てているのでしょう。このようにうんこを擬人化・擬物化をして表現している文例がとても多いのがうんこ漢字ドリルの特徴です。うんこをリアルに感じさせずにファンタジーに感じさせているから読者もファンタジーとして楽しめるのでしょう。

対しておならはどうでしょうか?同じ「弟」の文例を見てみます。

「どちらの方がすかせるか 兄だいげんかをしている」

まさにおならの話です。おならをおならとして扱っています。しかも「すかす」という生々しい表現まで。香りを強く感じさせる表現になっています。おなら漢字ドリルでは、このようにおならをリアルに感じさせる文例が多く見られるのがおなら漢字ドリルの特徴です。

うんこ漢字ドリルは、近松門左衛門の思想を引き継いでいるのではないか?そう感じられます。近松門左衛門は江戸時代に活躍した浄瑠璃・歌舞伎の作者です。歴史に残るエンターテイナーと言っていいでしょう。彼が唱えたのが「虚実皮膜」です。得も言われぬ面白さは「虚と実」の微妙な部分にあるということ。うんこ漢字ドリルはそれを見事に表現しています。リアルではないファンタジーうんこと、現実離れしない例文の見事な調和。これこそ、うんこ漢字ドリルが我々を魅了する理由ではないでしょうか?


2)うんこ以外にズラすうんこ。おならが中心のおなら。

次に「海」という漢字をみていきましょう。うんこの文例をご覧ください。

「うんこを かい外に 運ぶ 仕事。」

お見事です!この文章の中心何でしょうか?そう「仕事」です。うんこではないのです。ある海外に何かを運ぶ仕事を説明する文章であり、たまたまその運ぶものがうんこだっただけなのです。微妙にズラしているんです。うんこを中心にしないで、別のことを中心にした文章を作っている。こういった文例がとても多いです。これはホントにお見事としか言いようがない。あまり注目されない箇所かと思いますが、ここに職人技が隠されていると私は見ています。

おならの文例も見ておきましょう。

「かい草をたくさん食べたので、しおのかおりのおならが出た」

この文章の中心は「おならがでた」ことですね。文章の中心で「おなら」を叫んでいるのです。おならを中心にした文章が多いのがおなら漢字ドリルの特徴でもあります。「しおのかおり」と書いていますので、まさに嗅覚を刺激する文章になっていますね。


3)行動やビジュアルに焦点があたるうんこ。感情や心情に焦点が当たるおなら。
4)想像可能なうんこ。想像不可が散見されるおなら。

「父」という漢字を例にして2項目同時に比較分析していきます。うんことおならの文例はそれぞれこうです。

うんこ「父の日に うんこの 絵を 百まい プレゼントした。」

おなら「祖父も、祖母も、ぼくも おならがだいすき。」

うんこの文例は絵をプレゼントした話ですね。この文例で秀逸なのは「百まい」という言葉です。この言葉があるからこそビジュアルが浮かんでくるのです。「絵をプレゼントした」よりも「絵を百まいプレゼントした」方がビジュアルが強くなります。百まいの絵というか紙が頭に浮かぶのです。これがとても秀逸。このようにうんこ漢字ドリルでは「物のイメージや行動している様子」がすっと頭に浮かぶような表現が多用されています。

対しておならはどうか。「だいすき」という気持ちの表現です。となりの文例も「ひみつにしておこう」という文章も頭の中・心の中で起きているできごとです。これはどうしてもビジュアルで想像がしづらくなります。おなら漢字ドリルは心情や気持ち、頭の中で起きているの文例が多いのが特徴でもあります。

次の項目は想像の可否について。うんこ漢字ドリルの文例はファンタジーであり、実際には無いだろうという出来事でありながら想像ができる範囲の内容に収まっています。

「父親の うんこの 音が 大きすぎて けいさつが 来た。」

ぜ~~ったいにそんなことで警察は動かないと思うですが(日常的に騒音になっていて近所迷惑になっていない限り警察は動かないでしょう)、その場面は想像ができるものです。

たいしておなら漢字ドリルの文例はどうか。

「ちちがおならから生まれたことは、ひみつにしておこう。」

とあります。悔しいのですが私はこの場面を頭の中で想像をすることができませんでした。「父がおなら部屋をかいくぐって、走ってきた」ならまだ想像ができるのですが、「おならから生まれる」のは想像ができない・・・。私の想像力不足ゆえ。申し訳ありません。


5)ツッコみたくなるうんこ。受け入れるしかないおなら。

最後に「牛」の漢字を比較しましょう。うんこの文例にこうあります。

「これは 子牛の うんこですか?」

「いいえ、ぼくの うんこです。」

どんなうんこやねん!って言いたくなりません?エセ関西弁がでてしまうほどの文例です。このようについツッコみたくなる文例がたっぷりと掲載されているのがうんこ漢字ドリルの特徴です。

対しておならはどうか。

「牛の親子が一緒におならをした。」

なるほど。それはそれは珍しい機会に出くわしましたね。となります。ツッコむというよりは受け入れるしかない感じですね。左の文例「牛丼を食べるとかならず 四回おならがでてしまう」も、それはそれは大変ですねとなります。でも「四回」は好きだなー、これがあるのと無いのではまた印象が変わりそうです。


そもそも、うんことおならはケンカしてない。

ここまで「うんこ漢字ドリル」と「おなら漢字ドリル」を徹底比較してきました。個人的にうんこの方が好きなため、うんこ寄りの記事になってしまったことは否めません。

そもそも、うんことおならは目的が違うと思うので、同じ必要はないと思うのです。おならはうんこにケンカを売っているわけでないと思います。むしろ調和してお互いに子どもの成長を願っているように思えるのです。

だって、うんこ漢字ドリルは各学年1冊ずつしかありません。子どもが1冊すべてやり終えてしまったら…親はどうしようもないのです。子どもが「うんこがほしい。ぼく、もっとうんこがほしいよ!」と懇願しても親は何もしてやれない。子どもはリアルなうんこを願っているわけではありませんから。親としてこんなに悲しいことはありません。

そんなときに現れたのが「おなら」です。子どもからうんこを懇願されている親からすれば救世主でしょう。おならは2冊目需要として、とても重要な存在になるのでしょう。お互いはケンカしあう商品ではないのです。だってうんこもおならも出てくるところは同じです。兄弟みたいなもの。本当は仲良しなのでしょう。


以上「うんこ漢字ドリル」と「おなら漢字ドリル」を徹底比較してきました。くだらなかったですか?つまらなかったですか?

でも、うんこもおならもくだらない方がいいですね。つ(詰)まらない方がいいですね。ふつう(不通)は良くないです。新しい勉強文化は大歓迎です。なによりも子どもたちが楽しそうに自ら勉強をするなんて、ほんとすばらしいことです!これからも日本の子どもたちが楽しく勉強ができる教材を開発し続けてほしいと願っています。

ごせいちょう(整腸)ありがとうございましたm(__)m

16歳と8歳の息子を持つ父より。


■うんこ漢字ドリル(2年生)

■おなら漢字ドリル(2年生)