

長男(高校3年)は、受験対策で小論文の授業を受けている。そのトレーニングとしていろいろな課題をやっているみたい。昨晩は「高校で印象に残ったこと」がテーマだったみたい。小論文というか、作文のテーマみたいな気がするなー(実は、ぼくは「小論文」というものをやったことがないのでわからないのですが…)。まずは「自分の言葉」をたくさん出すためのトレーニングなのかな。
でも、長男は「何を書けばいいのかわからない・書くことが出てこない」という。仕方ないよなー。父ちゃんだってそうだったもん。で、「どんなことを書こうとしてるの?」と聞くと「文化祭かな」と長男。「文化祭で、クラスで食べ物の出したことが印象に残っています」と言うようなことを書こうとしているらしい。
なるほどーー。
なるほどーーー。
なるほどーーーー。
「父ちゃんは、小論文はやったことがないから書き方はわからないよ。ただ、そのお題で何かを伝えるならね」と前置きしたうえで、父ちゃんなりの技術論を展開した。
■伝えるべきは全体ではなく、1点の感情エピソードである。
文化祭全体のことを話すよりも、文化祭の中で起きた・体験したエピソード1点に絞った方が伝わりやすいぞ。そもそもその文章の中で何を伝えたいか、読み手に何が残ると嬉しいかというゴール設定はあるけど、読み手が感情移入をしやすいのは、こちらの感情が動いている瞬間だもの。
全体的にあーだこーだを話すよりも、文化祭の中で「感情が高まったエピソード」に絞って書くのが伝わる文章になるはず、父ちゃんは偉そうにそういった。「高まった感情」と、「その感情を生み出す原因になった行動」この2つを書けばいいと。長男もいい顔をしている。腑に落ちているみたい。
■感情は、波が大きい方が伝わる。
で、その感情が高まったエピソードの選び方について。波が大きい方が感情が伝わりやすいぞと。
たとえば「友だちと話しながら店番していて、楽しかった」。これは小さい波で表でいうと①のタイプ。別に悪いことじゃないけど、読み手は特にワクワクしない。
もっと大きな感情が生まれるエピソードの方がいい。「店番をしていたら、熱湯に手を突っ込んじゃってアツアツアツっ全員であたふたした」とか。「店番をしていたら、かわいいなって気になっていた後輩女子がお店に来て、手紙を渡してきた」とか。これなら感情の波が大きくなる。②のタイプ。
これでもいいけど、感情の波の差がもっとつくともっとワクワクすると思う。「つい先日、気になっていた後輩女子がぼくのクラスメイトの男子2人で歩いているのを見かけてしまい、ガッカリしていた」という前振りをしておけば、今回手紙を持ってきてくれたことがグッと際立つ。ドーンと落ちてガーンと上がる③のタイプになる。さらに「手紙を持ってきてくれた女子が『あの…これ…●●先輩に渡してください』って俺じゃないのかいー!」ってオチがあったら、さらにドーンと下がるのでまた感情が際立つ(この辺は全部妄想話っす)。
こんな話(上記は、昨晩長男に説明した時よりも詳しく書いちゃった)を長男にしたら、長男はすげー納得してくれた。「確かにそういうアニメも多いよね」って。
そうそう!そうなの。アニメも映画もドラマもマンガもテレビ番組もスマホゲームも、そういう構造を使っているはず。
モンハンみたいなゲームだってそうだよね。カンタンにボスを倒せちゃったらつまらない。苦労してから倒すから「よっしゃー」がデカくなる。スマホゲームのガチャだって、カンタンにレアキャラがでちゃったら「よっしゃー」が小さい。せっかくポイントを貯めてガチャしたのにでなかったというのを繰り返した結果、欲しいキャラが出るから「よっしゃー」がでかくなる。
そいううことだと。これが小論文にどう活きるかはわからないけど、仕事をしていく上では超役立つぜと。長男も納得していたみたい。良かった。
むふふ。父ちゃんもなかなか役に立つじゃないか!と自画自賛してると、奥さんの声が後ろから聞こえる。「父ちゃん、おかわりしたでしょ!」って。マズい…。今晩のおかずはおかわりしちゃいけなかったみたい…「明日どうすんのよ」って。ぼくの感情の波が上下するエピソードが始まる。
(しかける販促マン まきやさねゆき)